プログレッシブ ロシア語辞典(露和編)を使って知識を整理する

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  • ここにプログレッシブロシア語辞典も連携しているのでコトバンクのサイトを経由してプログレッシブロシア語辞典のウェブ検索が可能だが、そのほかに、プログレッシブロシア語辞典の凡例もウェブ上で見ることができるようになっている。

  • 凡例の何がよいか、というと、『辞典の中の記載を簡潔にするために、繰り返し説明する事項はシンボルで表す』仕様になっており、そのシンボル化されている事項を列挙しているのが凡例だ、ということ
  • 逆に言うと、凡例に挙げられている事項こそ、『覚える』のに適したことであるし、『(単語のレベルでルール化している事項』である、ということ
  • 以下が、その凡例サイト

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記述上の補助記号

"/" スラッシュ
  • 同様のことに2形があるとき。「あれか、これか」の使い分け
    • 名詞では、男性形と女性形とでペアになることがある
студе́нт [男1] / студе́нтка [女2]
    • 動詞では、不完了体と完了体とでペアになることがある
чита́ть [不完] / прочита́ть [完]
  • バリアントがあるとき。変化語尾・発音・アクセントが複数あるとき
    • 名詞の語尾変化は、ルールによって性・数・格ごとに語尾が決まるのが普通だが、ときに、同じ性・数・格で複数の形がある
    • 以下の場合は、語尾変化は1型だが、生格の語尾変化が-а/-уの2形ある。前置詞に続く場合として、 в/наに続く場合が-е/-у́の2形ある
ви́д1 ... -а/-у 前о -е, в/на -е/-у́
" < " 左辺の単語は右辺の単語から派生する、の意味
  • 名詞から、形容詞が派生することがある
ба́нный [形1] <ба́ня   (→ба́няの形容詞であることを表す)
  • 動詞から、ся動詞が派生することがある
вози́ться ... ③ 〔受身〕<вози́ть①  (→вози́тьの①の受身の意味を表す)
  • 形容詞から、名詞が派生することがある
*горю́ч|ий ① 可燃性の ② ... // –есть [女10] <① (→горю́чий の①の名詞の意味「可燃性」を表す)
  • 名詞から、小さい・かわいいの意味を添えた「指小形・愛称形」が派生することがある
бу́ковка [女2] 〔指小〕<бу́ква  (→бу́ква の指小形であることを表す)
болва́н [男1] ① 偶像 ② ... // ~чик [男2] 〔指小・愛称〕<①  (→болва́н①「偶像」の指小・愛称形であることを表す)
  • 語尾変化が大きい・不規則な場合は、基本形との関係を明示しないとわかりにくい場合がある
дня́ 〔単数;生格〕<де́нь   (→де́нь の単数生格形であることを表す)
беру́ 〔1単現〕<бра́ть   (→бра́ть の1人称単数現在形であることを表す)

見出し語

" xxx ^ 1" 右肩小さい数字、同音異義語
  • ロシア語単語のキリル文字表記は、表音的なので、同音異義語がある(キリル文字綴りが同じ単語がある)
  • 語尾変化レベルではたくさんあるが、見出し語レベルでも結構ある
  • 小文字・大文字の違いで区別される場合がある
  • アクセントの位置の違いで区別される場合がある
  • それでも区別できない場合を、右肩番号で区別する
見出し語レベルで連携するべき関係の単語
  • 名詞。同じ意味合いで男性形と女性形がある場合
    • "/" で区切るが、全つづりを明記する場合と、語尾変化のみの提示で十分な場合とがある
студе́нт [男1] / студе́нтка [女2]
благотвори́тель [男5] / ~ница [女3]
*бе́жен|ец [男3] / –ка [女2]
  • 動詞。不完了体動詞と完了体動詞はペアになるが、綴りのレベルでかなりのバリエーションがある(ので両方を見出し語にするのが適切。説明は不完了体動詞の場所に記載)
чита́ть [不完] / прочита́ть [完]
прочита́ть [完] →чита́ть
  • ся動詞とその派生元動詞との関係は、単純な場合と、複雑な場合とがある
    • 単純さには2段階ある
      • これらは派生語扱い
        • 派生元動詞の受身化としてだけの意味を持つся動詞は、訳語をつける必要もないレベル
        • 派生元動詞の受身化よりも複雑だが、動詞レベルではそれほど複雑ではないся動詞は、訳語をつけて意味を説明するのが適切なレベル
    • 複雑な場合(単純な場合以外のся動詞)
      • 独立な見出し語として扱うレベル
верши́ть -шу́, -ши́шь [不完] 《雅》 ① 〈対〉解決する;...
// ~ся [不完] 〔受身〕

возгоня́ть [不完] / возгна́ть [完] 【化】〈対〉昇華させる
// ~ся [不完] / [完] ① 【化】昇華する ② 《不完》 〔受身〕

деформи́ровать [不完・完] 〈対〉変形させる,歪める ...
// ~ся [不完・完] 変形する,歪む
"→" 綴りバリアントは参照先で確認する
  • 不規則にいろいろなバリアントがあることもある。その場合はそれぞれを見出し語にして、説明を一か所で見つけるのが効率的なので、バリアントを空見出しにして、参照先を→で示す。参照元では、バリアントをカンマ区切りで列挙する
без.. , безъ.. , бес..

безъ.. →без..
бес.. →без..

派生語

の列挙 "//" 派生語とみなせる単語、準見出し語の意味合いで、派生元の末尾に列挙
  • 名詞の形容詞形、形容詞の名詞形、動詞の名詞形
派生語の略記
  • 見出し語の区切り線にしたがって ~,– を使い分け
    • "~"は派生元見出し語全体に語尾を付加
витами́н [男1] ① ビタミン ... // ~ный [形1]

витами́нный
    • "–"は派生元見出し語にある仕切り記号 "|"の左側部分(語根)に付与する語尾を表す
были́н|а [女1] 【文学】ブィリーナ ... // –ный [形1]

былинный

анони́мн|ый [形1] 匿名の ... // –ость [女10]

анонимность

品詞と語形変化のタイプ

  • 10品詞ある
  • 品詞ごとに適した分類がある
    • 名詞は、性・数の2性質で「男・女・中・複」の4タイプに分けることがよく、さらに、それぞれについて格変化のタイプとして、1,2,...と数字で分けるとよい。ただし、名詞の性と、名詞の格変化タイプとが一致しない場合もある。その場合は、(格変化タイプ) [性数]と列挙する。格変化しない場合も(不変)とあらわす。また、合成語の場合は、要素の性質を[xxx]-[yyy]と[ ] を - で連結する
а̀виашо́у (不変) [中]
**дя́дя (女5変化) [男]
Ба́ба-Яга́ [女1]-[女2]
би́знес-кла́сс [不変]-[男4]
пара́д-алле́ [男1]-[不変]
    • 形容詞は格変化タイプとして、1,2,...と数字で分類するとよい
    • 動詞は、不完了/完了の2分類

訳語と意味

  • 単語には複数の意味が書かれている
    • 一つの単語の使いまわしのこともあるが
    • 異なる品詞が同じ見出し語で説明されるのが適当なこともあり、その場合は、品詞別の説明がそれとわかるように記載されている
    • 同一品詞での用法の使い分けには、例えば、名詞の場合、男性名詞の場合、女性名詞の場合、複数形の場合、大文字・小文字の別、でそれぞれ意味が異なる場合がある
    • 動詞の場合には、意味によって完了体・不完了体のペアが変わることもがある

コロケーション 他の単語との結びつきで特定の用法・意味が発生する

  • 動詞が取る補語・目的語は 格が決まっている、また、取る格によって意味が変わる
  • それを< x > とし、xに格を示す
гаранти́ровать [不完・完] ... 〈対〉保証する

ассигнова́ть [不完・完] ... 〈対〉〈資金を〉割り当てる,支出する

**па́мятник [男2] ① 〈与〉〈人の〉記念碑,記念像

**дари́ть [不完] / подари́ть [完] ① 〈与に対を〉贈る,プレゼントする ② 〈対に造を〉与える,贈る

**ду́мать [不完] / поду́мать [完] ① 〈о前/над造のことを〉考える,思う ... ② 〈что̀節〉…と思う,考える ... ③ 〈о前のことを〉思う,評価する ... ④ 〈不定形〉…しようと思う,...
  • 補語としてとる不定形が完了体のみ、不完了体のみ、という制約があることがある

名詞など

形容詞

動詞

  • 移動動詞には不定動詞と定動詞とがある。その表示は,品詞の直後に[定][不定]で区別
  • 一回体と多回体の違いもある。その表示は,品詞の直後に [一回],[多回] を添えた
  • 変化形はすべてを記すと冗長なので、必要に応じて書かれている。ルール通りのものは書かない、ルールから外れるが、一部を書けばわかるものは一部のみを書く
  • 結果として以下のルールが原則になっている
・第1変化規則動詞は変化形を示さず。
・第1変化不規動詞および第2変化動詞は1人称単数現在形および2人称単数現在形のみを示した。
・第1変化不規則動詞のうち3人称複数現在形の現在語幹が2人称単数現在形のそれと異なる場合は3人称複数形も示した。
  • 具体例でみてみる
спотыка́ться
[不完]/споткну́ться-ну́сь, -нёшься[完]
①〈о[対]に〉つまずく,。。。以下用例が続く
  • спотыка́тьсяというся動詞が見出し語となっている(から、сяの元動詞とは別に記載する必要があるся動詞とわかる)
  • そのあと[不完]とある。動詞は不完了体優先でそのあとに "/"スラッシュ区切りで完了体が来る。したがって、споткну́тьсяが完了体
  • [不完]の後に何も来ていないから、この不完了体動詞の変化形はспотыка́тьсяを不定形として、表示する対象ではないことがわかる=規則通り
  • "/"スラッシュの後の完了体動詞は-ну́сь, -нёшьсяが続いている。したがって споткну́сь、споткнёшься の2形は記しておかないとわからなくなるケースに相当することがわかる。つまり、不定形がспоткну́тьсяで、1人称単数現在形がспоткну́сь で、2人称単数現在形がспоткнёшься 、それ以外は、(この2形の変化でくくられるパターンという意味で)パターン通り