接頭辞が単語のバリエーションを豊かにする
- ロシア語では、ある単語の語尾変化は、その語の文中の役割に関する情報を与える(ことが多い)
- 他方、単語に接頭辞がついて、単語の意味を修飾し、新たな単語が生じる
- それはそれでよいのだが、辞書を引くうえで困るのは、必ずしも接頭辞によって生じた単語が見出し語になっていないこと…
- その例として、
пе́ть [ピェーチ] [スピェーチ] [プラピェーチ][不完] спе́ть[スピェーチ],пропе́ть[プラピェーチ]допеть[ドピェーチ[完]
- 一つの不完了体動詞пе́тьから、複数の完了体動詞が作られており、その完了体動詞は3つの接頭辞の付加によって生じている
- ロシア語辞典では、以下のように見出し語になっているものとなっていないものとがある
- 見出し語になっているもの
пе́ть[ピェーチ]пою́, поёшь 命по́й 受過пе́тый[不完]/спе́ть[スピェーチ],пропе́ть[プラピェーチ][完]〔sing〕①〈[対]〉歌う
спе́ть[不完]/по//спе́ть[完]①熟す,熟れる②*1(料理が)出来上がる
пропе́ть-пою́, -поёшь 命-по́й 受過-тый[完]① →пе́ть②〈[対]〉〈声などを〉からす③〈[対]〉歌って過ごす
- 見出し語になっていないもの
- допеть
- しかも、不完了体動詞としのて「歌う」という動作に関する不完了体動詞пе́тьに対し、辞書上、спе́ть[スピェーチ],пропе́ть[プラピェーチ]が不完了体対応していることが読み取れる一方
- 完了体動詞として示されたспе́тьは、自身、不完了体としての使用もあり、その完了体対応がпо//спе́тьであると書かれている
- そして、完了体動詞として示されたпропе́тьはそれがпе́тьの完了体であるとの場合と、自身がпе́тьとは別に、自身としての動詞的意味を持っていることも書かれている
- というわけで、動詞が出てきて、辞書を引いて出てこなければ、ひとまず、接頭辞で始まっているかどうかを見て、接頭辞を外して動詞を調べ、そのうえで接頭辞の意味を加える、という調べ方をするのがよさそうだ
*1:話